トヨタの尊敬するエンジニア 2018.11.28
以前に、ポルシェ社のテストドライバーの方など、ドイツ人の方たちが仕事で来日されるときに、ありがたいことに、東京スカイツリーの近くにあるムラタチューンにもわざわざ顔を出してくださるということを紹介させていただきました。
そのようなありがたい方々の中には、もちろん日本人の方もいらっしゃいます。トヨタ自動車の研究開発の拠点、東富士研究所の小宮山さんもそのお一人です。小宮山さんと初めてお会いしたのは、ドイツのニュルブルクリンクでした。ニュルの24時間耐久レースに参戦する日本人チームが乗るポルシェのメカニックとして私が現地に行った時のことです。
それから、随時と年月が経過したと思いますが、いまでも親しくお付き合いさせていただいています。小宮山さんはル・マン24時間レースに参戦するトヨタの車のエンジンを担当されていたりして、とてもお忙しい方ですが、その合間をぬって年に5-6回はムラタチューンを訪ねてきてくださっています。
小宮山さんは、F1(フォーミュラー1)をやってこられ、ル・マンもやってこられたので、意見交換を通じて、チューンアップや修理に関しる多くの刺激や学びをいただいています。
皆さんがすでにご存知のように、トヨタは今年6月の第86回ル・マン24時間レースで優勝を果たしました。通算20回目の挑戦で悲願を果たしたわけですが、トヨタがル・マンで悲願を達成したと聞いたときは、私も小宮山さんの苦労が報われたと思って、うれしかったです。
カイエン ブレーキバキュームラインの亀裂 2018.11.26
最近、カイエンでこんなトラブルが多く見受けられます。
この部品は、ブレーキの効きに大きく影響するもので不具合が生じると、ブレーキの効きが弱くなり、重大な状態に陥りかねません。ご覧のとおり、取り付け部分に亀裂が生じています。
この部品の用途を説明する前にまず、ブレーキシステムの説明からさせていただきます。
油圧を用いる自動車のブレーキシステムの場合、以下の部品が必要になります。
・マスターシリンダ : 運転手がブレーキを踏み込む具合を油圧系統に伝達する部品
・ブレーキホース : マスターシリンダからブレーキキャリパの間を油圧系統で繋ぐ部品
・ブレーキキャリパ : 油圧によってピストンが押し出されブレーキパットをローターに押し付ける部品。
・ローター : ホイールと一緒に回転し、ブレーキを制動させる為にパッドを押し付けられる部品
・ブレーキパッド : ローターに摩擦抵抗を加える部品
この部品だけでは、パッドをローターに押し付ける力はマスターシリンダの踏み込み力に依存し、重い車体を制動させるには不十分です。
そこで車には、マスターバックと言われる装置でエンジンの吸気圧力でマスターシリンダにさらに大きな力をかけて制動力を向上させています。
今回亀裂の入った部品は、エンジンからマスターバックに負圧を伝えるホースです。
マスターバックに負圧がかからなくなったら、ブレーキペダルを踏み込んだ力のみでブレーキを制動しなければなりませんので、倍力装置としてマスターバックが必要になります。
といった理由からとても危険な事例を紹介しました。樹脂でできたホースなので、高温化におかれるエンジンルームでは少々厳しい環境になるため、定期点検が重要になります。
弊社で点検を行い、バキュームラインの亀裂が見つかった場合、入庫状況にもよりますが比較的短期間で修理することが出来ます。
ご来店お待ちしています。
弊社では,TwitterやFacebookなど、アメブロ以外のSNSでも整備内容の紹介をしております。是非ご覧ください。
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986ボクスターのエンジンマウント交換 2018.11.24
本日は986ボクスターのエンジンマウント交換について紹介します。
ボクスターに限らず、エンジンを固定しているエンジンマウントは、エンジンの振動を吸収するためゴム部品が使用されています。
ゴム製品は熱や水分、外部から応力が加わることで酸化反応が発生し劣化します。エンジンマウントはエンジンの熱や、路面からしぶいた水、エンジンの振動・動きが加わるため、ゴム製品にとって非常に厳しい環境となっており、劣化による損傷が多く見受けられます。
先日整備した986も例外ではなく、エンジンマウントのゴム部分に亀裂が確認されました。
エンジンマウント上部(画像上ではエンジンマウント左部)に亀裂個所が集中していることが分かります。
ゴム部分のみを交換することはできず、assyでの交換になります。
これは図の方向にエンジンの荷重がかかることが原因です。数百kgもあるエンジンをこのマウントで支え、後方を2本のエンジンマウントで支えています。
1枚目の写真のとおり、対策として形状が変わっています。それでも亀裂の発生が見受けられるため、定期的な点検が必要になります。
これらの不具合も車をリフトに上げなければ気づきません。定期的に車の下廻りを点検することは大切ですね。弊社では無料でポルシェの点検を行っておりますので、よろしければお越しください。
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ポルシェ 911スピードスターコンセプト 2018.11.22
ポルシェファンは、皆さんすでにご存じだと思いますが、ポルシェ社は、10月にフランスで開催されたパリモーターショー2018にポルシェ911スピードスターコンセプト(Porsche 911 Speedster Concept)を出展し、市販化することも発表しました。
この車は、ポルシェ社の創業70周年を記念するコンセプトカーで、生産台数は1948台に限定する計画です。この数字は「356ロードスター」の最初の1台が登録された年(1948年)に由来するそうです。生産は2019年前半からで、私がドイツの友人から受け取った情報では、2019年の後半から配車されるそうです。
ポルシェ社の「スピードスター」は、1950年式の「356スピードスター」から始まり、2010年式の「タイプ997の911スピードスター」まで、8つのシリーズとスペシャルモデルを生産してきたと耳にしています。2019年に計画通り生産されるとなると、約9年ぶりの復活となりますね。
値段については確かなことはわかりませんが、巷(ちまた)の情報では、1台1億円近くするのではないかと予想する向きもあるそうです。それでも、私の回りにもこの車の購入を真剣に検討されている方がいらっしゃいます。
来年市販されることになる「911スピードスター」が日本に何台ぐらい入ってくるかわかりませんが、将来は、私もこの車のチューニングなどをさせていただくご縁ができるのかもしれません。その日を今からとても楽しみにしています。
ポルシェはどこに行くのだろう 2018.11.19
ニュースで、米国・ラスベガスで1月に開催された世界最大級の家電見本市「CES2018」のことを知りました。
家電見本市とは言うものの、家電だけでなく最新のハイテク機器の展示が増え、特にここ数年は知能化・電動化が進む自動車関連の出展が急増しているそうです。
この「CES2018」で、トヨタ自動車の豊田章夫社長は、「クルマ会社から移動を助けるモビリティ・サービス・カンパニーに変わる」と語り、トヨタが新たな事業体への変革を目指すことを表明されました。
この表明には、トヨタが自動車という枠組みを超えて、インターネットやデータ分析などITも駆使して安全で快適なモビリティ(移動)を提供するということ、そして、それを通じて、未来に向けて大きな進化を遂げようという想いが感じられます。
モビリティの進化にはしっかりとしたビジョンや先端技術、長期的な経営計画や財務基盤が欠かせないだけでなく、環境に関する規制のあり方も影響するそうですから、トヨタにとってはものすごく大きな、社運を賭けた事業に違いありません。
昨今の自動車産業は、米国テスラが電気自動車という新しいモビリティ分野で市場をけん引したり、Googleが自動運転技術を開発したりして、異業種からの参入や、激しい競争が起こっているといわれています。
自動車産業がこれからどういう方向に進んでいくのか興味があります。そのとき、私たちの愛するポルシェがこれまでの伝統を引き継ぎながら、どのような新たな文化を築いていくのでしょうか。特にそのことに関心があります。