964 ガタガタなクーリングファン 2018.12.14
先日投稿したクーリングファンの分解の続きです。
(https://ameblo.jp/muratatune/entry-12423121094.html)
ファンを取り外す前にプーリーを外したところ、シムとの接触面に歪みが見受けられ、修正を行いました。
前回書き忘れていましたが、
プーリーにオイルが付着していました。これはクランクシャフトのシールからエンジンオイルが滲み、クランクプーリーへ付着したオイルがベルトによって飛び散った事が原因です。クランクシャフトのシール交換はエンジンを降ろし、分解しなければならないため、今回は修理を見送りました。
プーリーから外したハウジングです。取り外すと下部にクランクプーリーが擦った跡が見えます(上記写真の赤丸が干渉部分)。原因は経験不足によるファンハウジングの組み付けミスです。また、ファンハウジング内側にファンで擦ったような跡が付いています。これはファンの軸についているスリーブが摩耗し、ガタが生じたことで接触していました。分解しスリーブを交換しました。
クーリングファンassyを外しました。
次回はクーリングファンassyの分解を行います。
クーリングファンの分解の様子を少しだけ...
お楽しみに!
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ニュルブルクリンクで高めたポルシェの経験知 2018.12.13
何年か前までしばらくの間、「モータースポーツの聖地」といわれるサーキット、ドイツのニュルブルクリンクにメカニックの仕事で毎年行っていました。
先日のブログで紹介したように、ニュルの24時間レースに参加する日本人のポルシェチームのメンバーとして呼ばれて行きました。
レースが行われるノルドシュライフェ(北コース)は、これまでも触れてきましたが、山間部特有の気候や高低差、道幅の狭さ、見通しのよくないコーナーなど、難関がいくつもあり、難しいコースです。
私たちが親しくお付き合いさせていただいている、ドイツのレーサー、ウォルフガング・カウフマンさんなどは、「ニュルブルクリンクが大学だとしたら、日本の富士スピードウェイは幼稚園(!)のようなもの。道幅は広いし、コーナーもすべて見渡せる。ニュルブルクリンクを一度走れば、それがわかる」と言って、私たちを挑発します。(笑)
実際、ニュルブルクリンクの北コースは、私たちが日本のサーキットでは経験できないことを学ばせてくれます。昔はF1(フォーミュラー1)のレースが開催されていましたが、難しいコースゆえに事故が多発して現在は行われなくなりました。
このニュルブルクリンクにメカニックとして何年も参加することができたことによって、私は普通ではなかなかできないポルシェ整備の知識と経験を積み上げることができました。
そのニュルで一番苦労したのは、初参加から3年目のときです。私たちのポルシェチームの車のトランスミッションが壊れてしまったのです。全く使い物にならなくなったので、普通ならリタイアですが、その時のドライドライバーの中には、スポンサーのおかげでニュルに来ている人がいました。
スポンサーがいらっしゃるので、リタイアするわけにはいかず、「何としても完走しなければならない」ということになりました。それで、トランスミッションはかの有名なマンタイに行って、交渉し買うことができました。そして、4人いるメカのうち、2人が壊れたミッションを降ろしている間に、残りの2人がミッションを取りに行きました。
それで6時間くらいロスしましたが、なんとか完走することができました。
カイエン 裂けたエンジントルクダンパー 2018.12.11
ニュルブルクリンクでの「仕返し」 2018.12.08
「モータースポーツの聖地」といわれる、ドイツのニュルブルクリンクに初めて行ったのは15年ほど前のことです。
ニュルの24時間レースに参加する日本人のポルシェチームのメカニックとして参加しました。メカニックとしての豊富な経験と人のつながりなどがないと、なかなかいくことができないのですが、幸いにして、何年もお声をかけていただきました。
以前のブログ記事でも触れたように、ニュルブルクリンクは、ドイツの北西部ラインラント=プファルツ州の風光明媚なアイフェル地方にあるサーキット場ですが、丘陵地帯に作られていますので、コースは高低差が大きくて、とても変化に富んでいます。また、道幅が狭いうえに、山間部特有の気候のため、一日のうちに晴天やにわか雨、霧などさまざまな天気に遭遇することがあります。
それでも、初参加のレースは、200台以上が参加した中、総合で12位の成績を収めることができました。レースの最中に、私たちのチームの車がトップ争いをしていた優勝候補のポルシェチームとぶつかってしまったので、40分ほどロスしてしまいました。これがなければ、初参加で優勝していたのではないかと今でも思っています。
この時の接触事故が原因で、優勝候補だったポルシェチームはリタイアしました。よほど悔しかったのかどうかわかりませんが、次の年は、そのチームに車を当てられて、きっちりとそのお礼(仕返し)をされました(笑)。
ポルシェを修理するエンジニアの手 2018.12.03
先日、トヨタ自動車の東富士研究所の小宮山さんがお忙しい合間をぬって、よくムラタチューンに訪ねてきてくださるということを書かせていただきました。
多くの方がご存知のように、東富士研究所は、トヨタの最新車両やレーシングカーの開発が行われている、世界の自動車開発における最先端の現場のひとつです。そこで小宮山さんは、F1やル・マン24時間レースに参戦するトヨタの車のエンジンを担当されてきたのです。
その小宮山さんから教えられたのは、修理やチューンアップの際に徹底的に細かく測定することの大切さです。ポルシェのように性能の高い車であればあるほど、この細かい測定が大事なのです。ムラタチューンの測定がとても細かいのは、そうした理由があります。
「細かい」ということでいうと、昨日お世話になっている方々と食事をしているときに、ある方が私を紹介するときに、おっしゃっていたことが興味深かったそうです。それはどういうことかというと、私の手が「普通の人間と違う」とおっしゃるのです(笑)。
「この人の手は、普通の人なら全然触れないような熱い飲み物が入った湯飲みも簡単に持てるんだ。それだけ、手の皮が分厚いのだけれど、車の部品、例えば、シリンダーの内側の傷を手触りで見つけるんだ。その傷というのは時には、髪の毛の太さの10分の1ほどの深さしかないんだ。そんな分厚い手でどうしてわかるんだろう」
そういわれても、私にも答えようがありません(笑)。