ポルシェ・924

ポルシェ・924の説明

ポルシェ924(Porsche 924 )は、ポルシェが1975年に発売した2+2乗り、FRレイアウトのスポーツカー。マーケティング上ではポルシェ914の後継車種である。1978年には、ターボチャージャーを用いた高性能版924ターボが追加された。
エンジン搭載位置は、ポルシェのそれまでの車種に採用していたミッドシップエンジンやリアエンジンではなくフロントエンジンとし、後輪を駆動した。ただし、一般的なFRと異なり、トランスミッションは後輪車軸上にある。
また、先代のポルシェ914と同じく、ポルシェ911よりも下の市場をねらって、フォルクスワーゲン(VW)、アウディ各車の部品を多数流用し、コストダウンを図ったのも特徴的であるが、その部品の選択と組み合わせは深く吟味され、当時としては第一級のスポーツカーに仕立てられた。
924の基本構成は、ポルシェ944を経てポルシェ968にまで受け継がれた。

924
ポルシェ一族から1972年に経営を引き継いだアーネスト・フールマンの元、新世代ポルシェとして設計された。 当初はVWとの共同開発でポルシェへのエントリー車種として開発が進められていた。部品共有によるコストダウン、VWの生産ラインを使用することでの量産化等が前提であったが、同社の経営陣の交代による開発打切りにより最終的にポルシェ社が案件を買い取り独自商品として発売されることとなった。生産は、VWのネッカースウルム工場(元々はロータリーエンジンの開発と生産で知られたNSUの本拠地であった)に委託された。
開発の初期段階では部品共用化を考慮し、前輪駆動の採用が検討されたが、当時の前輪駆動技術ではポルシェの理想とする高度な操縦性の獲得が困難であるために断念された。先代の914では、高度な操縦性の獲得のため、ミッドシップレイアウトが採用されたが、その結果それまでのポルシェ車の特徴であった+2のリアシートが設置できなくなり、トランクが前後に分かれるなど実用性の点でユーザーに不便を強いた。それが販売不振の大きな要因の一つであると考えられたため、924の開発に当っては実用性も大いに重視し、実用性と操縦性を兼ね備えたFR(フロントエンジン、リアドライブ)のレイアウトを採用した。
また、年々厳しくなる安全基準をクリアするためには、フロントにエンジンという大きな質量が配置されていることが、リアエンジンや、ミドシップエンジンよりも有利であると考えられたのも、フロントエンジンが採用された理由の一つである。[要出典]
一方、高度な操縦性を実現すべく、重量配分は特に重視され、トランスミッションとディファレンシャルギアを一体化し後輪車軸に直結する後輪トランスアクスル レイアウトを採り、重量配分を前後でほぼ同じとした。このトランスアクスルには、エンジン縦置きの前輪駆動車であるアウディ100のトランスアクスルをほぼそのまま流用している。発売当初は4速マニュアルトランスミッション(MT)のみの設定で、1977年にオートマチックトランスミッション(AT)仕様が加わり、1978年にはMTが5速になった。
エンジンは、アウディ100に用いられていた水冷直列4気筒OHV1871ccエンジンの排気量を1984ccに拡大し、SOHC化したもので、アウディ製である。元々はVWの商用車LT用に開発されたもので、924への搭載にあたり燃料噴射化され、最高出力はヨーロッパ仕様で125馬力、日本仕様で100馬力であった。その後アウディ100にも搭載されたが、こちらは、シングルキャブレターで115馬力という仕様であった。
また、前後ブレーキ(前ディスク、後ドラム)はVW・K70から、ドライブシャフトはVW・181から、フロントサスペンション(ストラット部)、ステアリング系統、ヒーターユニット等はVWゴルフから、フロントサスペンション(ロアアーム部)はVWシロッコから、リアサスペンションはVWビートルからなど、当時のフォルクスワーゲン、アウディ各車から多くの部品を流用している。
量産車の部品を多用している事から、一部には「本物のポルシェではない」と揶揄する声もあったが、安価で、安定供給される量産車の部品を多用し、コストを抑えつつ、高品質かつ高性能のスポーツカーを造るという思想は、ポルシェ生産車第一号のポルシェ356からしてそうであり、その合理性は、むしろ「ポルシェらしい」と言えよう。
デザインは当時のチーフ、アントワーヌ・ラピーヌの元で若きハーム・ラガーイが担当した。リトラクタブルヘッドライトや曲面ガラスのリアハッチゲート等は当時斬新だった。様々なスポーツカー、スポーティーカーに多くのデザイン的影響を与え、その後類似デザイン車が氾濫した。中でもマツダ・サバンナRX-7は特によく似ていると言われた。
発売当初、バリエーションは、特にグレード名の付かない標準車の924のみであったが、主に足回りを強化する、スポーツキットと呼ばれるオプションが用意されていた。これには、標準車にはないスタビライザー(前、後)や、強化ダンパー、アルミホイール、185/70-14サイズのタイヤなどが含まれている。日本ではこれを装備したものを924Sとして販売した。
1981年には、924と基本的に同じだが、ブリスターフェンダーなどで装いを新たにしたボディに、ポルシェ自製の2479ccエンジンを搭載した上級車種944が登場したが、924も継続生産された。1985年には944と基本的に同じエンジン(少しデチューンされている)を搭載したものが、924Sの名で登場。その後バリエーションが整理されるなどして1988年まで生産された。
日本には、三和自動車(現在のミツワ自動車)の手で1976年から輸入された。1976年当時の価格は、924の4速MT仕様が438万円、924Sの4速MT仕様が488万円であった。944の輸入開始に伴い1982年で一旦輸入は中止されたが、1987年には新エンジンの924Sが再び輸入されるようになった。1987年当時の価格は5速MT仕様で535万円。その後1988年まで輸入された。

924ターボ
当時のポルシェのフラッグシップモデルであるポルシェ928と、エントリーモデル924との、ラインナップ上の大きな隙間を埋めるために1978年に登場した924の高性能版が924ターボである。
924ターボの型式名はポルシェ931、その右ハンドルモデルはポルシェ932であるため、マニアの間ではこの型式名で呼ばれる事も多い。
当初は911の後継車の本命と目されていたが、911の人気は衰えず、911に取って代わることは出来なかった。
924の高性能化にあたっては、アウディ製エンジンに既に拡大の余地がなかったことから、ターボチャージャーの装着という方法が採られた。また、それは、モータースポーツの経験が大いに生かせるという点でも好ましい方法であった。
開発にあたっては、既存のエンジンにただターボチャージャーを装着するだけでなく、エンジン本体にも手が加えられ、シリンダーヘッドは新設計され、補機類の配置もそれまでの924とは異なる。またオイルクーラーも装着された。これらの改変により最高出力はヨーロッパ仕様で170馬力、日本仕様で150馬力に増強された。1981年にはヨーロッパ仕様で177馬力、日本仕様で160馬力へと、更に増強された。トランスミッションは5速MTのみ。
増大した出力に対処するため足回りも強化され、サスペンションは前後ともスタビライザーが追加され、ビルシュタイン製強化ダンパーが装備された。ブレーキは前後ともに通風式ディスクに改められ、ホイールは15インチに、タイヤは185/70-15サイズにグレードアップされた。また16インチホイールと205/55-16サイズのピレリーP7タイヤが装着されたものもあった。
外観は、ノーズ先端に4つのエアインテーク、フロントバンパー下にはスリッド、エンジンフード上にはNACAダクトが設けられた。また、リアにもスポイラーが装備されたが、日本仕様では法規上許されず装備されなかった。
発売以来機構的には大きな変更もなく生産され続けたが、1983年、上級車種944の充実に伴い生産中止となった。
日本には三和自動車(現在のミツワ自動車)の手で1979年から輸入された。1979年当時の価格は、924ターボが645万円、豪華版の924ターボSが710万円。本国で生産中止になるまで輸入された。

スペック表

  ポルシェ・924
ベース車両 -
エンジン -
ニュルブルクリンクタイム -
ホッケンハイムタイム -
ノーマル車両参考 -
形式 -
排気量 -
レイアウト -
圧縮比 -
出力 -
トルク -
ボディ -
全長×全幅×全高 -
ホイルベース -
車両重量 -
ブレーキ -
フロントブレーキ -
リアブレーキ -
フロントホイール -
リヤホイール -
フロントタイア -
タイヤ -
パフォーマンス -
0 km/h -100 km/h -
0 km/h -200 km/h -
最高速度 -
標準価格 -
オプション -