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クランクシャフトの変遷-2 2019.04.01
前回の続きです。(https://ameblo.jp/muratatune/entry-12448487424.html)
前回は930でセミカウンタークランクからフルカウンタークランクに変遷した事まで説明しました。
フルカウンタークランクとは、クランクピンの反対側にカウンターウェイトが2つ規則正しく配置されているクランクシャフトの事です。セミカウンタークランクと比較して、整った形状をしています。
このような配置にする事で、ピストンなどの往復運動をする部品の慣性力をより打ち消すことができます。
しかし、イメージが湧きにくいと思います。機会があれば記事を書きますが、6気筒エンジンは1次振動も2次振動も打ち消される完全バランスであるエンジンであるため、エンジン全体で考えると慣性は打ち消されます。では、なぜフルカウンタークランクが必要なのでしょうか。
上図はセミカウンタークランクとフルカウンタークランクの概略図です。ここで各気筒に着目してみましょう。6気筒あるエンジンを分割して単気筒として考えることになりますが、セミカウンタークランクの場合はクランクピンの片方にしかカウンターウェイトが配置されていないため、慣性を打ち消す時にクランクピンに対して偶力が発生し、メタルに負担がかかることがわかります。これが原因で、フリクションロスやメタルの摩耗が増大します。慣性力はピストン速度の2乗で働く為、高回転になるとこの現象はより顕著に現れます。
赤い矢印が偶力です。片方がピストンによって生み出されたF、もう片方をカウンターウェイトの遠心力で生み出されたF'とすると,両方の力の作用線が同一線上に位置しない限り物体に回転方向の力が発生することがお分かりになるかと思います。
次回に続きます。